それぞれの冠の解釈は基本的に王権の及んでいた範囲と関係づけられていますが、独特の形や、それぞれの冠を構成している要素などという詳細までは解説されていません。
古代エジプトの中で最も古い書物とされるピラミッド文書の中に登場する、ホワイトクラウンとレッドクラウンに関する記述では〝それらの光りを発する色はセレスティアルな身体(星霊体)に関係するものである〟と書かれています。
星霊体というのは肉体レベルの身体のことではなく、光りで出来ている眼に見えない身体のことです。
少なくとも赤い光りと白い光りの二種類は星霊体を造っている光りに含まれるという捉え方もできます。
・ウラエウス
ファラオの王冠の総ての中に現されているのが頭を上げたコブラ、女神ワドジェトを現しているウラエウスです。
一般的な解説では、主権、王権、神などと言った、絶対的な神たる権威を象徴していたとされています。
・ネメス(ヘッドドレス 頭巾)
二種類のストライプの、肩と首を覆い隠す被り物で、額の中心からウラエウスが頭を上げています。
後ろから見ると、ネメスは首の下位置でまとめられ、紐でぐるぐる巻きに縛られているようにも見えますが、連なった数多くの輪のようにも、コブラの尻尾を表現しているとも思えます。
最も古いネメスの例は、第三王朝二代目のファラオだったジョセル王の像だとされています。
中王国時代・第12王朝の第6ファラオ、アメンエムハト三世が統治した期間は長く安定した時代だったそうです。
中央の管理局が再構成され、国境は守られ、貿易も増えていました。
この時代に彫刻のスタイルも変化し、芸術家たちは統治者を彼の父との対比するように、疲れ果てた様相ではなく、若く瑞々しい姿で描き出しています。
しかしアメンエムハト三世の幾つかの胴像に彫り込まれた顔の様相は、ストレス気味で、心配性てきな様相が表現されたイメージもあり、それらは父親の性格を表してると解説されていました。
アメンエムハト三世が冠っているのは一匹のウラエウスが頭を上げているネメスです。
ネメスの表現の中で眼に停まったのは、肩から上と下の部分の横縞のパターンの感覚が違うことです。
上部のストライプは幅が大きく、肩から下に下がっている部分の横縞の感覚はとても狭く密接しています。
その他のファラオの立像や、神々の立ち姿イメージの典型的なパターンと同じように、右足を前に出しています。
この胴像の中で興味深いのは、腰巻きの前部分がピラミッドの三角形で表されている部分です。
単に三角という形ではなく、明らかに立体的な四角錐の一面であり、膝から上にピラミッド型の何かが、へそ下に隠れる頂点に向けて聳え立っているように見えます。
ピラミッド型のスカートの表面にはジェド柱が描かれ、柱の両脇にはウラエウスが底辺部分で頭を上げています。
第18王朝の第6ファラオだったトトメス三世はエジプトの国境を拡大し、古代の中近東の領域で最も強大な帝国を作り上げたファラオです。
アムン神に向けて〝液体の入った瓶〟を捧げ物を持って座っている姿だとされていますが、それが何だったのかは解説されていません。
ラムセス二世の息子、第19王朝の第4ファラオとなったメネプタァ王の胸像の顔は一般的に表されれています。
そのために、その趣は別の時代のファラオの像をメルネプタァ時代のアーティストが王のために再彫刻したのではないかと提唱されています。
一般的なファラオの被り物、ウラエウスが頭を上げたネメス冠をかぶり、顎下に付け髭をつけています。
・アフネト/クハト
王族が最も頻繁に冠っていたとされるのがクハトまたはアフネト・ヘッドドレスと呼ばれるもので、一色の布で作られていたであろうと考えられています。
ネメスと良く似た形ですが、首の両脇から肩そして上半身に垂れ下がっている部分はなく、被り物の下部は丸くまとめられ、首の後ろでコブラの尻尾のように一本にまとめられています。.
アマルナ時期の女王によって冠られていたのではないかと提案され、主に葬祭と復活に関係する被り物だと解説されています。
ツタンカーメン王の墓の中から発見された四体の黄金の女神たちによって冠られています。
第18王朝5代目のファラオとなったハトシェプスト女王はトトメス三世の摂政として帝国を支配した女性のファラオです。
ハトシェプストとは「最も高貴なる女性」という意味で、即位名は〝真実とラー神の魂〟という意味の「マアトカラー」。
公の場では男装で、あごに付け髭をつけていたと伝えられています。
この石像でも付け髭をつけ、乳房が盛り上がった女性の胸ではなく、平らで男性的な胸で表現されています。
夫のトトメス二世は側室だったイシスとの間に生まれたトトメス三世を後継者に使命しますが、まだ幼かったためにハトシェプストが王の死後22年間に渡って政治に関わり、絶対的な権力を持っていたそうです。
この像が冠っているのは、一般的なファラオの被り物ネメスのヴァリエーション、〝クハト〟です。
両膝の間に挟まれている壺のように見える何かの前に立っている不思議な形のものは「ジェド柱」と呼ばれる、エジプト神話の中で頻繁に描かれるシンボルの一つです。
この形のヒエログリフは「安定性」を意味し、死後と地底世界、そして死者を司るオシリス神に関係し、一般的な解釈では、オシリス神の背骨を象徴すると解説されています。
・ブルークラウン/ケプレシュ
ブルークラウンを被って現れた最初のファラオがアメンホテプ三世で、戦冠とも解釈されています。
彼の後に続いた新王朝時代に描かれているファラオ達の多くは、戦いの際に頻繁にケプレシュを被った姿で描かれています。
神が具現化した姿としてのファラオは、ケプレシュを冠ることによって神聖を現し、超越した力を喚起するためのものでもあったのではないかとも推測されています。
ブルークラウンの形は少し長めの卵形で、左右の側部は風切りのように少し出っ張っているので短い羽のようにも見え、全体は小さな丸いパターンで埋め尽くされています。
額の中央部には胴体を渦巻かせたコブラが描かれ、その尻尾は頭頂から後頭部へと伸びています。
実物は布製または青く染色された革製だったのではないかと推測されていますが、どこからも本物は発見されていません。
第18王朝の第9代目のファラオの即位名はネブマアトラー「真実の主はラーなり」の意だと解説されていました。
トトメス3世、トトメス4世の時代を経て絶頂に達した王国を継承し、彼の在位期間は長く40年近くに及び、その期間の間に、テーベにルクソール神殿を建設し、カルナックのアメン神殿と直結する分神殿とました。
その他にも自身のための広大な葬祭殿をテーベに建設していますが、後代の王たちによって破壊されてしまい、破壊されずに残っているのは「メムノンの巨像」と呼ばれる彼の坐像です。
この像が被っているのは〝ケプレッシュ/ブルークラウン〟ですが、青ではなく赤く塗られていること、釜で焼かれていない粘土製などから、その総てが一般的ではないと解説されていました。
ブルークラウンの額に表現されている、後頭部から頭頂を通じて額の中心で渦巻き状になって首をもたげている金色のウラエウスの姿は、2011年10月28日に起きたダウンロードの時に経験した波動の流れの経路と全く同じものです。
そしてブルークラウン全域にデザインされている小さな丸いパターンは、頭の中に明るい電灯がついていた時に頻繁に頭皮に現れていた沢山の小さな丸い盛り上がりを思い浮かばせました。
小さな翼のような突起は、時々のように頭蓋骨の両脇の上部に痛みを感じる場所と同じです。
それらの個人的な経験からブルークラウンを捉えると、頭部のエネルギー的な変容の過程、または脳の中の波動と周波数の動きに関係することを現しているようにしか思えませんでした。
ファラオ冠の表している〝形〟と〝動き〟には一般的な理解とは全く違った意味が隠されているのです。
それからファラオの頭部や衣装、装飾品、携帯品などに興味が湧てきました。
エネルギー的な表現として現れる〝形〟〝動き〟〝構造〟などに焦点を合わせて更に多くの発掘品を捉え直してみれば、ブルークラウンの時と同じように別次元の意味が解るのではないかと思ったのです。
・レッドクラウン
デシュレト/レッドクラウンは、地図上で見ると上に当たるナイル川の下流域、砂漠の赤い砂とナイル川を挟んだ豊穣なケメト地区の両岸を現したものだと解説されています。
神話の中では、大地の神であり元々のエジプトの統治者だったゲブ神が、ホルス神にナイル下流域の統治を任せたことに由来します。
ホルスの後継者であるファラオ達はナイル川の下流を統治する権威を現す象徴として冠ったと考えられています。
レッドクラウンを冠っているのはホルス神やファラオ達だけではなく、蛇の姿で現される守りの女神ワジェト、創世の女神サイス、ネイスも頻繁にデシュレトを冠った姿で描かれています。
レッドクラウンの形は基本的に上広がりの円筒形で、後頭部から少し幅のある長い突起が現れ、その途中から細い管のようなものが伸びて、先端は螺旋状に渦を巻いています。
現在の時点でファラオ達が冠っていたであろうと思われるレッドクラウンの素材や製造方法などは不明のままです。
銅、葦、皮、布などで制作されていたのではないかと憶測されていますが、実物は発見されていません。
また場合によってはグリーンクラウンとも呼ばれます。
・ホワイトクラウン
ヘデジェト ホワイトクラウンはエジプト上部、ナイル川上流域の一帯を現すものとされています。
時によってコブラの女神ワドジェトの隣に付き添っている禿鷲の女神ネクベトを象徴するとされます。
ホルス神をカルト的に奉っている古代都市ネケン(ヒエラコンポリス)にあるホルス神の像も一般的にホワイトクラウンを冠った姿で現されています。
ホワイトクランに関する最も古いイメージは、紀元前3600から3200年にヌビア北部に住んでいた一族が使っていたものを、南エジプト人が継承したのではないかと考えられています。
セベクホテプという名前は第13王朝のファラオ達の中に数多く登場し、石像の左足の横に刻まれている「メルヘトプレ」という即位名から、中央政府が力を失った王朝の後り頃で崇められていたファラオだろうとされてます。
ウラエウスが額の中央に鎮座しているホワイトクラウンを冠ったファラオの座像は、上腕を交差させて神々の子孫であることを象徴する持ち物を持っています。
上部が疑問符を逆さまにした形になっているのが〝ヘカ〟と呼ばれる、王笏(おうしゃく)です。
〝ヘカ〟という言葉は統治者という意味で、使われ方の多くは魔法に関係している事柄です。
三つの殻がついた殻竿は〝ネクハクハ〟と呼ばれ、力と権威を表しているとされています。
石像の断片である頭像は、農業の豊かさと、北部のロケーションという重要性から幾人かのファラオ達によって特に興味を抱いていたデルタ地域で発見されました。
第12王朝で長老の官僚だったケシュの墓に関係するもので、コムエルヒスンの一帯は女神ハトホルの聖域でした。
名前が定かにされていうない王の頭像が冠っているのは、エジプト上部を現すホワイトクラウンです。
重たいまぶたと顔のつくりは、中間王朝時代の成熟したスタイルでの表現だと推測されています。
この頭像の中で興味深いのは、その他のホワイトクラウンと違い、額の中央部に蛇神ウラエスが飾られていない、そして冠の縁にバンドが表現されてないことです。
ホワイトクラウンには、ウラエウスが額から現れているヴァージョンと、そうでないものがあるのです。
・ダブルクラウン
プシケントとも呼ばれるダブルクラウンは、レッドクラウンとホワイトクラウンを合体させたもので、一般的にはエジプト上域と下域を統合した姿だと理解されています。
赤と白の冠の歴史は長く、前王朝時代まで遡ることができ、エジプト全域に渡る王権の象徴だと理解されています。
シャバガという名前は〝美しさはラーの魂〟という意味。
元々はスフィンクスの一部だった像の頭はネメスの上にダブルクラウンを冠り、額の中央からは二体のウラエウスが頭を上げています。
クシテの統治者だったシャバガ王だと考えられ、第25王朝のファラオだった彼は総てのエジプトをコントロールしたエチピア系の王様です。
・アテフクラウン
ホワイトクラウンの両側面に羽のイメージが付け加えられているのがアテフクラウンで、前王朝時代からエジプト上域を統治していたファラオの冠であり、オシリス神を現すものと解説されています。
本体部分に追加されている羽のように見えるイメージは、その先端が丸まっていることから、赤いダチョウの羽で、オシリス神のカルトを現すものだと解説されています。
この羽を現しているとされるイメージは、「法」「真理」「正義」を司る「マァト神」の赤い鉢巻きと一緒に描かれている羽のイメージと結びつけられ、死者の書の中で故人の心臓が天秤に乗せられて審判にかけられる際の一方に置かれる羽とも解釈されています。
古代エジプトで羽が象徴するのは真実、正義、モラル感、バランスです。
アテフクラウンの解釈の中で最も腑に落ちないのは、描かれている羽のようなものがダチョウの羽とは掛け離れていることです。
そして死者の書や女神マァトがつけている羽と全く同じデザインでもありません。
使われている色彩の赤・青・緑・金色は実際のダチョウの羽とは無関係な配色です。
・ヘムヘムクラウン
トリプル・アテフクラウンは、一般的にネメスを冠っているファラオの頭の上から、横に向かって螺旋状に巻き伸びたヤギの角が生え、その上に三つの太陽のディスクが乗り、三つの灯心草(イグサ)の柱が伸びて、その上に三つの太陽のディスクが乗っています。
両脇にはアテフクラウンと同じくダチョウの羽があり、その横に太陽のディスクを頭に乗せたウラエウスが立っています。
ヘムヘムは〝叫ぶ〟という意味です。
または〝戦争の雄叫び〟とも訳され、ホルス神に関係するヌビア下域での太陽神マンドゥリスが冠っているものです。
・シュティークラウン
別名ダブルフェザードクラウンとも呼ばれるシュティ冠は、背の低い冠の上に二つの大羽が伸び、土台の冠の後ろからは長い管が背中に垂れ下がっているものです。
ヴァリエーションとしてアメンラー神の場合は冠の上に太陽のディスクが乗っています。
・キャップクラウン
一色の丸い帽子で額の部分からウラエウスが頭を上げている冠です。
青、白、金色の単色で、創造神プタァによって冠られています。
★
ファラオの冠には謎めいた部分が多く、明確に解明されていないのは明らかです。
歴史的な事実として、これらのファラオ冠の実物は、どの時代のファラオの墓からも、何処からも全く発見されていません。
奇跡的に墓荒らしの被害に遭わなかったツタンカーメン王の墓の中からも実物は発見されませんでした。
これらの冠は実際にファラオ達によって冠られていたものなのかは大きな疑問だということです。
ファラオの冠の原型は、神々の姿を現した石像、神殿内の壁画、パピルスなどにも見つけることができます。
ファラオ達の冠は基本が10種類ですが、神々の被り物として描かれるディヴァイン・クラウン(神冠)はそれを遥かに上回る数になり、それぞれの神の姿を現す際に、その特性に応じた冠が描かれています。
また同じ神様でも違ったデザインの冠で描かれる場合もあります。
例えば、ダブルフェザードクラウンは、アメン神、ホルス神、ミン神のイメージにも使われ、アテフクラウンはオシリス神、ホルス神、ラー神のイメージに使われています。
女神イシスと女神ハトホルは、長い牛の角の間に太陽のディスクを挟んでいる冠を乗せていますが、三段の階段のように見える王座の冠は女神イシスだけに使われています。
ここで見えて来るのは、ファラオの10種類の冠は、古代の神々を表現した石像や壁画を元にしているということです。
ロイヤルクラウンの識別は、どの地域の神殿にどんな種類の冠が使われているかを基本に判断されています。
レッドクラウンはナイル上流の神殿に多く、ホワイトクラウンはナイル下流の神殿に多く見つかっているということで、その分布図が王権の及んでいた範囲だと解釈されているわけです。
ディヴァインクラウンの種類の多くは、特定の神々を現す象徴としての位置を明確に示しています。
神々のイメージは基本的に人間の姿が当てはめられていますが、その背景によっては人間の姿で現される場合と、関係する動物の姿で描かれる場合があります。
例えばホルス神は人間の身体に隼の頭で描かれ、場合によっては隼の姿でも表現されます。
また、それぞれの神様を人間化したイメージには冠だけではなく、杖や鉢巻き、ドレス、配色などでもそれぞれの神様の特色が現されています。
続く
☆
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