爪と間接の皺まで細かく表現まで再現されている手の指と足の指の金製のカバーは、王の指のサイズに合わせて造られたものです。
良質なリネン布で捲かれた王のミイラの手指と足指につけられた状態で発見されています。
金は神々の肉体と考えられていたので、その他のアミュレットと同じように魔法の力で王を様々な危険から守る役割を果たすものだと解説されています。
手足の指先と骨は、生命力であるカー/氣と、それが出入りする経絡に関係しています。
それぞれ指を神が造られている金の指先でカヴァーすることによって、邪悪な氣が入り込まず、神々のエッセンスだけが取り込まれるようにと考えられたのでしょう。
墓の中からは数多くのサンダルが発見され、その殆どはパピルス製のものですが、革製のものも幾つかあります。
実際に履かれていたパピルス製のサンダルの姿を模していますが、実際の仕上がりから急いで制作された可能性が示唆されています。
王のサンダル持ちは初期王国時代から重要な役割として位置づけられていたそうです。
控えの間から発見された二つの黄金製の銘板の内の一つで、二つとも同じ大きさと形で、その他の黄金製の品々と違って赤みが多いのは、鉄分の多い金が使われているからと解説されています。
す。
これらの銘板は機能的に捉えた時に、どこにも別のものにつけるための金具がついていないことから、装飾用のものだという見解と、ハーネスやベルト、または儀式用の飾りに何かしらの方法で付けられたものではないかと考えられています。
銘板の中心部のモチーフは、ダイヤモンド ◇の形の模様が入ったヘブ・バスケットの上に乗っている寺院で、天井の上には21匹のウラエウスが整列しています。
寺院の中で玉座に座っているツタンカーメン王はブルークラウンを冠り、左手は王笏、右手はアンクを握っています。
そして玉座は四つ足の動物を模したもので、上下エジプトの統合を表すセマ・タウィの模様が入っています。
寺院の右上に羽を広げて飛んでいる禿鷲の爪は〝フェスティバル/祝典〟を表すヒエログリフのパネルを掴んでいます。
寺院の右側は太陽のディスクを頭の上に乗せた神さまで、台座の上に乗っているダブルクラウンを冠ったスフィンクスの像を王へ差し出し、神さまの背中側にはワス杖が伸びています。
寺院の左側は翼を広げた女神マアアトで、右手に先がカーブしている長い杖を持ち、翼の間にツタンカーメンの名前が入ったカルトゥーシュを挟んで王を加護している姿が描かれています。
もう一つのデザインは上からレオパルド、下からライオンに襲われている牛の絵柄です。
控えの間で発見された金箔のレオパルドの頭は二つあり、小さな青銅のリングでレオパルド(豹)の皮を模して作られた布製のローブにつけることが出来きるようになっています。
ローブの全体に金箔を縫い付けた☆のパターンが入り、レオパルドの皮を模して四本の足と爪が表された神官のローブも発見されています。
土台は木材から彫刻され、石膏でコーティングされた後に金色で被覆してあり、眼は膵水晶で象嵌されています。
額に刻まれているのは王の戴冠名〝ネブケペルレ〟で、着色ガラスとカルサイトを使って象眼されています。
古代エジプトを治めるファラオという地位の中で重要な役割は、神として政治を采配し、人々から崇められる存在であるだけではなく、星々の世界に住む神々と密接な関係性を保つための宗教的な儀式を行う神官達を長として率いることも含まれていました。
このレオパルドの頭飾りとローブは、葬祭の儀式の中で重要な位置にあった〝口開きの儀式〟の際に着用されたものだと考えられています。
命を吹き込む口開きの儀式とセム神官
ファラオの勤めは神官の役割りもあり、王そのものが宗教的な儀式の中心に位置していました。
そして王が崩御すると星々の世界に住む神々が待つ来世へ旅立ち、再び生き返るためにミイラ化されるわけですが、その一連の葬祭の儀式行程の中で興味深いのが〝口開きの儀式〟です。
ピラミッド文書の中にも記述され、ツタンカーメン王の玄室の壁にもオシリス神の姿をしたツタンカーメン王の口開きの儀式が王位に就いたアイによって行われる場面が描かれています。
元々は命の宿っていない像に対して行われていたもので、後にミイラに対しても儀式として行われるようになったのです。
死後の世界での召使いとされるウシャブティ像に対して行われる場合もあり、場合によっては神殿の全体に対する口開きの儀式が行われたと解説されています。
口開きの儀式は儀式用の手斧や、腕の形をした吊り香炉、ペセシュケフと呼ばれる終わりが魚の尻尾のような形になっているスプーン状の刀身、蛇の頭のついた刀などの特殊な形の道具と様々なアミュレットが使われ、似たような儀式が前王国時代から行われていたそうです。
古王国時代では王のピラミッド複合神殿群の中に立つ王の像に対して定期的に行われていたと書かれています。
新王国時代の第18王朝で大臣の位置にあったレクミレ Rekhmire の墓には、合計75の違った行為で儀式が行われる場面が描かれています。
儀式の多くは浄化と香を焚くことから成り、御神酒と動物の生け贄が捧げられています。
また身体の部位を触ることも重要な役割を果たしています。
口開きの儀式を行う神官はプタァのセム神官と呼ばれ、短い鬘で頭頂から髪の毛の束を横に垂らし、レオパルドのローブを肩がけした姿で描かれます。
創造神プタァに遣える大神官たちは口開きの儀式を行うセム神官の地位も同時に持っていたと解説されています。
伝統的に亡くなったファラオの口開きの儀式を行うのは王の長男で、ツタンカーメン王の父であるアクエンアテンの口開きの儀式は、世継ぎになった幼少のツタンカーメンが行ったであろうと推測されています。
そして世継ぎの生まれなかったツタンカーメン王のミイラの口開きの儀式は、生前に彼のアドヴァイザーであり、次に王位に就いてブルークラウンを冠ったアイ王によって行われたと考えられています。
口開きのためのフォーミュラ
余の口はプタァによって開かれた
余の口を縛るものは我の街の神々によって呪縛を解かれた
トートが彼の言葉と力の総てを備えて来たる
そして彼は余の口からセトに属するものを解き放つ、余の口の債券を
余の両手はアムンによって動かされ、彼はそれを我の口を守るために前に置いた
余の口は開かれ、プタァの鉄の道具によって分割された
彼が神々の口を開いたそれで
我はセクメト・ワジェド、偉大な空の右舷の側に佇む
我はシャヒト・アムキス、イウヌの力
どのような言葉の力、余に対して口にされるどの様なスピーチでも
彼らに対して神々が立ち上がり、九柱の神々と、そのエンアドたちを召集しますように
考古学者から捉えた古代エジプト人の宗教的な世界観に対する解釈で最も興味深いのは、その総てが魔法と呪文に結びつけられていることです。多くの解説では、古代エジプト人はミイラが命を吹き返し、言葉を話すと信じていたと解釈されています。
しかし、客観的に考えて、死んで間もない死体が再び呼吸を始めることはあり得ても、完全に脳死した状態で、さらに内蔵を取り出して防腐処理をした遺体が再び口を動かして話し始めるわけはありません。
古代でも現代のように故人の遺体/ミイラに対して尊厳を持って接していたのは明らかですが、いつかミイラが蘇って動き始めると考えていたようには見えません。
その理由は、先代の王の埋蔵品を公的に盗み出して再使用することが一般的な時代もあり、ミイラと共に埋葬された秘蔵の品々は奪っても、遺体のミイラは再使用できないので、死者の遺体を冒涜しない的な流儀でそのまま放置している場合が多いからです。
仮に先代のファラオのミイラが蘇って動き出し、言葉を話すと本気で信じていたのであれば、次の王が先代の墓を荒らして遺品を再使用するなど考えられないでしょう。
このような魔法と呪文の世界観は、実際の古代エジプト人の視点ではなく、現代人的な観点で想像され、定義づけされているということです。
とても意味深な響きを持っている〝ミイラの口開きの儀式〟の原型は、ミイラに対して行われていたのではなく、生命が宿っていない王の像や神殿に対して行われていたという部分です。
人間や動物のよう生きている肉体ではないもの、無機質な物に対して儀式を行い、それらに生命を宿らせて、耳では聴こえない言葉、感覚を通じて受け取る言葉を喋らせるための儀式だったと言っても良いでしょう。
ここでの命が宿る、喋るという意味は、像や建築物が人間のように言葉を話すということではなく、近くで見るなり、触るなり、神殿内に佇むことで受取手の感覚を触発し、何かしらの啓示、またはヴィジョン、霊聴、メッセージなどを受けることが出来るような存在感を引き出す、または霊的な力を与えるということで、エネルギー的な息吹を与えるということです。
この観点からミイラに対しての口開きの儀式を考えてみると、すでに命が失われてしまった遺体/ミイラは像や建物と変わりない物体ですから、同じ儀式が当てはめられてもおかしくはありません。
表層的な意味での口開き〟という言葉とミイラを関係させると、閉じているミイラの口を開けるようなイメージが思い浮かび、口が開く=話す+食べるという連想に繋がりますが、儀式としての口開きは、そのような意味とは趣が違うものです。
口開きの儀式はセム神官によって行われ、その地位はプタァ神の大神官のことも指します。
無機質なものに息吹を与える儀式のアイデアは、創造と卓越の神であるプタァ神がハートで考え、想像したイメージを魔法の力を持つ言葉を話して表現することで世界が生まれたという創世神話から生まれたものです。
創造神プタァ
古都メンフィスの主神で、メンフィスの大神官の地位はプタァの大神官と呼ばれ、職人のリーダーでした。
創造神プタァはデールエルディーナを含む神殿や墳墓の建築に関わる、技巧、金工、大工、船大工、彫刻家などを含めた仕事部屋と墳墓の建設で働く職人たちを擁護する創造と卓越の神様です。
美しい顔、真実の主人、正義の熟練者、祈りを聴く神、セレモニーの熟練者、永遠の主人などと加須多くの呼び名があります。
第三中間期の第25王朝のシャバカ王は、シャバカ石と呼ばれるステラの中で「思考と言葉によって宇宙を創造した責任者はプタァ神である」と記述されています。
総てのものが現れる前に存在していた神様と捉えられ、自らの意思の力で世界を考え、それは最初にハートによる思考を使って想像されました。
そして言葉を使った魔法によって命が芽生え、世界が創造されたのです。その中には自然の構成要素、動物相と植物相も含まれていました。
そしてプタァ神は創造だけではなく、世界を維持する役割と、王族としての機能が永続するための役割も演じています。
一般的に緑色の肌で、白いミイラの姿に交差した赤い襷(タスキ)を掛け、頭には青いキャップを冠り、幅広の襟飾りと首の後ろには黄金のカウンターウェイトが下がり、神権の付け髭を装着しています。
包帯の中から現れた両手は三つの創造の力を表す「ワス杖/力、アンク/生命、ジェド柱/安定」が合体した長い杖を持ち、女神マアアトのヒエログリフの形をした台の上に立っています。
またプタァ神は時によって醜い裸の頭が大きく手足が短い小びとの姿で表されることもあり、その姿から、同じく異形の小びとで表されるベス神と頻繁に関連づけられています。
その他にも太陽のディスクを乗せた人間の頭をした二羽の鳥の姿で描かれることもあります。
太陽のディスクはラー神の魂を象徴するもので、ラー神のバー/魂に当てはまります。
二羽の人間の頭の上に乗っているバー/魂はオグアド(ヘルモポリス八柱神)の双子の神、シューとテフネトとして識別され、この二人の神様はアトゥム神から生まれています。
プタァ神を動物の形態で表した姿は、エピスと呼ばれる聖なる雄牛で、サッカラのセラピウムには雄牛のミイラが発見されていす。
プタァ神の化身である雄牛は頻繁にラー神の遣いと呼ばれ、新王国時代からラー神の聖なる動物としても信仰され始めています。
古都メンフィスで祀られていた三柱神でのプタァは女神サクメトの夫で、ライオンの頭で描かれ、彼女はラーの左目から生まれた殺戮の女神として信仰されています。
この二人の間に誕生したのがネフェルタムで、ロータスが頭の上に乗った人間の姿で表されています。
また、サッカラのジェセル王のピラミッドを建設し、神格化された建築家で賢者のイムホテプもプタァの息子として信仰されていました。
プタァ神はその他の神々と統合されて進化した神様にもなり、古王国時代からはメンフィスの葬祭の神々であるタテネンとソカーと統合されることでプタァソカー Ptah-Sokar へと進化しています。
その後にはオシリス神も加えられ、プタァソカーオシリスとも呼ばれました。
中間王国時代から以降では、ラー神、女神イシス、オシリス神、アムン神と共に古代エジプトの五大神の中の一人に数えられています。
ソカーはメンフィスのネクロポリス(大規模な共同墓地)で信仰されていた隼の頭をした神で、彼の名前の意味は解っていません。
地下世界の中ではメンフィスの主神プタァと死者の神オシリスと強く結びつけられ、プタァソカーオシリスという三位一体した神様として表現されています。
タテネンは原始の塚/ベンベンの神様で、その名前は〝上昇する土地〟または〝高貴な大地〟という意味で、ナイル川の沈泥を示唆することもあります。
この原始の塚/ベンベンは、自分で自身を作り出した創造神アトゥムが座っていたものです。
原始の地下世界の神様として創造とも結びつけられています。
タテネンは両性具有の神様でメンネフェルとも呼ばれ、メンフィス地区の自然を守る神様として信仰されていました。
続く
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