このようなデンザイン構成のネックスレスは女性だけでなく男性も着飾っていたそうです。
しかし、このネックレスは実際に身につけるようにはデザインされていません。
この状態で身につけると、広げった扇のような姿は消え、首の幅で胸の前に固まって垂れ下がったようになり、重さのバランスも非常に悪くなります。
元々は一連だった複数のネックレスを一つにまとめたと考えられ、元々のアレンジがどういうものだったのか判明していません。
同じ構造でレプリカを制作することも可能なデザインですが、それにしても気の遠くなる作業には違いありません。
新王朝時代 第19王朝 セティ二世
テーベ 王家の谷 KV56
新王国時代でイヤリングをつけるのはファッションを通じての地位の現れで、ラムセサイドの人々は耳にピアスをすることは普通でした。
この時期には大きく、そして長く伸びた鬘に変わっていたので大きめのイヤリングは頻繁に鬘に付け加えられていたそうです。
ヴォリュームのある黒い鬘にこのように大きめの金色に輝くイヤリングはバランス良く映っていたでしょう。
第12王朝で五代目のセンウォスレト三世が建設したピラミッド神殿群の近くに建設された、王族のための葬祭殿の回廊の中で見つかったもので、王の娘、メレレト王女の秘宝の一つです。
ペクトラルというのは古王国時代から現れた胸当てのことで、ネックレスで首から下げることによって胸の位置に置かれるようにデザインされた装飾品です。
多くの石像の胸に描かれているペクトラルは、胸の上部、位置的には心臓の上に乗っている内分泌の器官〝胸腺〟の上です。
その幾つかのペクトラルの意味は謎めいたもので、いったい何を象徴しているのか解っていないと解説されています。
構図の上部で禿鷲の女神が翼を広げているペクトラルは、彼女の兄弟で、亡き父を継いでファラオの地位を継承したアメンエムハト三世のものです。
禿鷲の女神ネクベトの頭の両脇には彼女の別名の〝天界の女主人〟が繰り返されています。
猛禽類の禿鷲の爪が両脇の王の頭の上で握っているのは、アンク・生命とジェド柱・持久力/安定性です。
中央部の二つのカルトゥーシュはアメンエムハト三世の戴冠名、ナイマアトレ Nimaatre〝ラー神の正義に属する〟です。
その間に挟まれている柱状のヒエログリフは〝良い神〟〝二つの土地の統治者〟という王族の別名です。
その両脇に鏡像で描かれている王の片手は、彼の足下にしがみつこうとしている外国の敵の髪の毛を握り、別の手は矛(ほこ)状の権標を振り上げて叩き落とそうとしています。
王の姿もヒエログリフの形で、〝良い神、二つの土地の統治者は、外国の敵を叩き落とす〟と合体させて読むことが出来ます。
王の背中側には生命を意味するアンクに腕がついた姿で、大扇を掲げ、王が永遠の生命を得ていることを暗示しています。
シュスホング王はほんの短い期間だけ統治して崩御したファラオで、〝最も有力なことはラー神の形態、ラー神が選んだ者、アムン神に愛されたシェスホング〟と謳われています。
ペクトラルの構図は、中央にスカラベが翼を広げ、その上には太陽のディクの左右からウラエウスが現れ、翼を広げたソーラーバーク/太陽の船を表すシンボルが置かれています。
再誕するスカラベが羽を開いて空へ上昇し、呪文を唱えて叫びながら太陽の神と関係する太陽の船へと昇っていく姿です。
頻繁に箱として表される縞模様の区切り枠の下には、イシスのシンボルであるティエトとオシリスの背骨を表すジェド柱が交互に並んで繰り返され、箱の中に収まっているスカラベ+太陽の船+二人の女神はティエトとジェド柱の力を受けていることを表しています。
スカラベの両脇に座っている二人の女神は、姉妹として故人の守護女神となる存在です。
左がミイラとオシリスを守る女神ネフティス、右が死者の保護者で魔法の女神イシスで、死と再生の神オシリスと深く関係する二人で再誕を目指すスカラベを持ち上げています。
区切り枠の上は別世界である来性を表し、目標地点となる少し小さめのソーラーバクが置かれ、最終的に二つの同化を示唆しています。
そして裏側には来世へ入る際に故人の心臓を冥界の審判から守る〝呪文30〟が刻まれています。
ハートの呪文(呪文30)
おお、余の母の余の心よ!
おお、余の母の余の心よ!
余の違った形態の余の心よ!
余に不利な証人として立つのではない
裁判所でも余に反対するのではない
天秤の守り手がいる御中で
余に敵対するのではない
汝は余のカー
それは余の身体
余の人員を丈夫にした保護者よ
幸せな場所に出て行くのだ
我々が速度を上げるところへ
人間を造る取り巻き達に余の名を評判悪くするのではない
余に関して嘘をつくのではない
神の御前で
それは汝が聴くべき誠に良いことなのだ!
太陽への変容に導く聖なる甲虫ススカラベと変容神ケプリ
糞を転がすスカラベ/ケプレトは創造と再誕の神ケプリと繋がっている聖なる甲虫で、古代エジプトではスカラベの形をしたアミュレットが計り知れないほど造られています。
スカラベ(糞転がし)が糞の球を転がす力が、太陽を動かす力と結びつけられ、創造と再誕の神ケプリと結びつけられています。
ケプリ神は特に上昇する太陽を表すラー神と密接な関係を持っている太陽神の中の一人で、ケペルという言葉は〝発達する〟〝存在となる〟という意味です。
古代エジプトの神話では、太陽は毎日空を転がりながら身体と魂を変容させ続けます。
ケプリは他の太陽神アトゥムと共にラー神の側面とされ、ケプリは朝の太陽に位置づけられ、ラー神が日中の太陽、アトゥムが午後の太陽と考えられていました。
そしてファラオは王位に就くことによって太陽神へと変容した姿だと考えられていました。
プトレマイオス5世エピファネスは「余は成るのだ、そして適切なものが起こる。ケプラの形態に成るように余は成る、変容の神、最初の時に存在と成りに来た者。余を通じて総ての変容は起こった」と謳っています。
ケプリ神は主にスカラベの形で描かれますが、幾つかの墓の壁に表されたケプリ神の姿は、頭はスカラベで身体は人間の男性として描かれます。
また女神ヌンによって持ち上げられた太陽の船の中のスカラベとしても表されています。
スカラベに関する記述の中で最も興味深い解説は、古代エジプト人が捉えていたスカラベは、雄しか存在せず、精液を糞の玉の中へ注いで繁殖すると思っていたことです。
〝精液で繁殖する〟という発想は奇妙なものに思えますが、これは実質的なスカラベの繁殖方法を表しているのではありません。
人体の構造を通じて覚醒を目指す、インドに古くから伝わる経典、タントラに関係する事柄です。
古代の哲学者や、アジアからインド圏の医学では、古くから精液は人間の命の源(エッセンス)と捉えられ、精液を保持し続けることによって健康になり、長寿がもたらされると説いています。
精液は前立腺と精囊からの分泌液が混じったもので、50もの物質で構成されている物質です。
その中には人に幸福感を与える働きをする成分、感情を高めるコルチゾル、気分を高揚させるエストロンとオキシトシン、抗うつ効果のある神経伝達物質セロトニンなどの成分が含まれています。
これらの成分を放出せずに吸収することによって、中枢神経と脳へと送り込むことで機能を向上させるというアイデアです。
これを通じてスカラベ/ケプリ神と二人の女神、ネフティスとイシスの本質が見えて来ます。
神々の子孫でありながら、人間として生まれたファラオたちの最終的な目標は、自分たちの先祖である神々が住んでいる来世、星々の世界に生まれ変わることです。
古代エジプトの神々の類似性は、ファラオがアセンションして神々と同化するための〝変容の錬金術〟に関係し、王を星々の世界へ引き上げることを助ける存在として表されています。
転生へのステップはミイラ化による肉体の防腐処理から始まり、様々な葬祭の儀式を通じて死と再生の神オシリスが統治する地下世界へ旅立ちます。
そして神々に助けられながら冥界の中を旅し、幾多の門を潜り抜け、〝完成品・勝者〟を表す太陽神アトゥムになって上昇し、星々の世界でラー神と対面し、神々の世界へ迎え入れら、永遠の生命を獲得するのです。
これらの行程の初期段階で最も重要視されているのが、冥界の神オシリス/ジェド柱で表される〝背骨〟と同化することです。
簡単に書くと、精液は覚醒して神々の領域へ到着するために必要な神秘の脳内物質〝DMT〟を完成させるための基盤になる物質ということです。
そしてスカラベが示唆する繁殖のために使われる精液は、体内の様々な器官を通じて発達する、変容する必要があり、それは転がされながらイシスとネフティスの助けによって移動します。
そしてオシリス/背骨に入って上昇し、太陽神アトム/完成品になって脳内で放出されると、太陽の船になり、星々の世界へ運ばれるということです。
続く
「ホルスの錬金術 黄金ファラオの秘宝」の前編になるのが「聖なる谷 空中都市マチュピチュを超えて」で、こちらの方は1991年に出かけたインカ帝国の遺跡を巡る旅の中での神秘体験やUFO目撃を綴った旅行記です。
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