前回の記事でも書きましたが、青いロータスには精神性を変化させる効能があります。
聖なる青い睡蓮を食べる、その香りを嗅ぐとこで「スピリチュアルな力」が与えられると言っても良いでしょう。
人間の肉体の部位の中で、青い睡蓮の意識を変化させる力が威力を発揮するところは「脳」です。
香りは直接的に脳に刺激を与え、食しても血流を通じて脳へと辿り着いて脳内の化学的な要素のバランスが変わり、変成した意識状態を造り出します。
そのような理解のために、ロータス=「力を与える」という関連性で様々に当てはめられているように見えます。
しかし単に霊的な「力を与える」だけとして描かれてはいません。
その他にも「持ち上げる」「上昇する」 という意味でも表現されています。
▲水面から上がって来て花を開かせるロータスの中に現されている太陽神ラーの頭部
ブルーロータスは古代エジプトの創世神話の中で大きな意味を与えられています。
水面に隠れている地面に根を生やしたロータスは、水の中で茎を水面まで伸ばし、葉を広げ、同じように莟を水面下から押し上げて水の上で花を咲かせます。
この場面では太陽神ラーの誕生が描かれているわけですが、誕生というよりは、混沌とした世界から、睡蓮の成長と一緒に水の中を押し上がり、空へと出現したと言った方が的確でしょう。
ここでの睡蓮の役割は太陽神ラーの通り道=管ということになります。
太陽神ラーは「光りの力」の比喩です。
光りの力が茎という管を通りながら睡蓮の身体と莟を成長させ、花を咲かせることで太陽神ラーの輝きが現れるのです。
ここで見えて来る睡蓮と太陽神ラーの関係性は以下の通り
・根は地面に生えている → 大地から水分と一緒に波動を吸い上げる
・茎が水中で伸びる → 管が成長する → エネルギーが上昇する
・茎=管=身体 → 茎と葉が成長する
・茎 → 血管 → 背骨 → 神経 → クンダリーニ
・水中から葉・莟を出す → 光りを浴びる
・莟 → 頭部
・花 → 脳 → 第七チャクラ
・花の開花は太陽の動き=光りの量の動きによって影響を受ける
・花を食べる、香りを嗅ぐと変成した意識の状態になる → 脳が変成状態になる
青い睡蓮と身体の構造への位置づけは、様々な事柄の謎を紐解く大きな鍵を持っているのです。
睡蓮の花と頭部を関連づけた発掘品では、ツタンカーメンの頭部の像が解りやすいでしょう。
▲ロータスの花の上に乗っているツタンカーメンの頭
睡蓮の花がスピリチュアルな力を与える、頭の全体、脳の機能に力を授けるという理解の元に、頭が睡蓮の上に乗せられていると理解するのが妥当だと思います。
そのような睡蓮の霊的なパワーに関係する別の発掘品に、同じくツタンカーメンの墓に納められていた「馬の目隠し」があります。
目の機能に対してスピリチュアルな力の加護があるようにという意味になるでしょう。
▲ツタンカーメンの馬の目隠し
この構図では睡蓮の花は縦ではなく、横にされています。
睡蓮の花の前に描かれているのは一般的にホルスの目と呼ばれる「ウジャット=ホルスの家」です。
後頭部から太陽神ラーの力を放出され、視覚中枢へ力が与えられるという図式です。
▲二つの丸い莟?と一つの開花したロータスの上に並んでいるホルスの四つの魂
四体のホルスの息子達=ホルスの四つの魂がロータスの上に並んでいる様子は、彼らが聖なる多い睡蓮によって上げられ、そして霊的な力を与えられると解釈することが出来ます。
さらには睡蓮の描かれ方は、中央に開いた花があり、その左右に莟があります。
睡蓮の花を脳の比喩として捉えると、この表現は基本的に頭部での動きを現していることになります。
これに関係するのが「三つの脳内ランプ」です。
・二つの莟は右脳と左脳の中で点灯する脳内ランプ
・中央で開花している花は脳が開いている状態
・四体のホルスの魂は、ホルス=脳内物質を構成している要素
▲三本の柱の上の中央に大きな莟
このような睡蓮に与えられた霊的な力の表現は、神殿の屋根を支える柱にも現れています。
エネルギーを通す管として理解されていた柱の上に、太陽神ラーの力を放つ花の姿が表現されているのです。
これらのロータスの柱は、単純に睡蓮の茎と花を形容しているわけではありません。
単純に睡蓮の花をモチーフにしているわけではなく、それ以上の意味が「光りの動き」として現されているのです。
花の中から放出されているように見える数多くの細い茎に繋がっている莟と花の姿は、さらに細かく分化された光り動きが、同心円状で放出されている姿を表現しています。
そのデザイン的な表現の形態には様々なヴァリエーションがあります。
▲ロータスがデザインされた装飾の様式
古代エジプトの神殿や壁画、ヒエログリフなどを通じて表現されているロータスの装飾的な様式には様々な種類があります。
同じロータスのモチーフを使っていても、その表現に違いがあるのです。
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