ルーミー君は連日の夜のお出かけで、金曜の夜も土曜の夜もワイキキにお出かけして、サンフランシスコから一時的に帰って来た友人と一緒にクラブへお出かけ遊ばされていました。
しかも連日で朝の4時過ぎまで遊んでいたので、かなり寝不足のご様子です。
とりあえず朝起きてゴソゴソとしていたら「本土で今なにが流行っているのか?」という話題になり、今流行っているのは「モウホーク」というものだと言うので、その『モウホーク』っつ~ものは何ナノだ? と聞いてみると、それは流行の髪型でした。
しかも、それはナンと『モヒカン刈り』のことだったのです。
どうして今さらモヒカンなのか?
と話の展開を不思議がっていると、「ネットで調べてみなよ、一杯出てくるから。ハワイではまだあんまり見かけないけど、シアトルなんて、今はモヒカンだらけよ。町中にウロウロしてるんだから」と豪語してのたまわってくるので、さて、真実はいかなるものなのか? と思いつつ、ぐーぐるぅを使って調べてみます。
すると、出てくる出てくる。モヒカン・カットのオンパレード。
しかも、一般的なイメージのモヒカン・ルックを乗り越えて、今やモヒカンは進化してしまって、ファッションとして確立してしまっていたのでした・・・。
そして見つけた一枚のカッコイイ写真。
心の中で密かに『う~ん、もしかして、やってみたら意外と結構似合ってしまうかも・・・』などと思っていたら、「やってみれば?似合うと思うわよ」などというルーミー君の悪魔の囁きに後押しされて、自分がモヒカン頭になってしまった姿をイメージしてみます。
実は数年前に髪の毛を超短く刈り込んでいた時期があり、髪の毛を切ってもらったのは友人だったのですが、彼曰く「こんなに似合うとは思わなかった」と言われました。
もともと天ぱぁ~な髪の毛なので、短くしても髪の毛がツンツンに立つことはない私の頭・・・。
何でそうなったか?というのは、衝動的に髪の毛を真っ白にブリーチしてみたくなって、市販されているロレアンを買ってきて、プラチナ・ブロンドにしてみたのです。
しかし、ナンと悲しいことにパッケージの写真に載っていたような、白くて薄っすらとプラチナのように輝く白い髪の毛にはならず、ド派手なオレンジ頭になってしまいました。
これには焦りました・・・。
ショッキングにもオレンジ色に輝く頭になってしまった、くるんとカールの入った少し長めの天ぱぁ~ヘアーはスゴク不気味だったわけです・・・。
救急対策として、アパートの目の前の行き着けのサロンに走ってゆき、その場でバリバリとバリカンで短く刈り込んでもらいました。
ドアを開けてサロンに入って来た時のオレンジ頭の私を見て目を丸くしたベトナム人おばさんの、微かな笑いを浮かべた驚きの表情は忘れられません。
しかし問題は続いて、派手さは少し治まったものの、オレンジであることに変わりは無いわけです。
恥をしのんで友人のヘアー・スタイリストに電話すると「やってあげるから直ぐ来なさい」攻撃されました。
結局は再び白くなるようにブリーチしなおしてもらったのですが、脱色する際に頭皮が痛くて気絶しそうだったので、最後まで耐えることが出来ません。その結果に髪の毛は真っ白にはなりませんでした。
その後さらに短くハサミで刈り込んでもらったら、まるでひと時のジョージマイケルのような髪型のパイナップル・イエロー・ヴァ~ジョンの、ばか~ウラになってしまいました。
しかし、これはウケました。非常にウケました。
知り合いのスコティー君にバッタリとビーチで出会ったら、「ハ~イ、ブロンディ~! 良く似合ってるよ~!」と言ってハグハグされてしまったくらいにウケました。
それはさておき。
モヒカン頭になるアイデアにまたまた取り憑かれてしまった私は、早速お財布をつかんでルーミー君を引き連れてサロンへ・・・。
「今日はどうしたいの?」と聞かれて「モウホーク頭」と言っても叔母さんはチンぷんカンプンでした。ハイセンスのヘアーサロンならまだしも、地元のベトナム人経営のロコ・サロンでモウホークなんていうのを期待した私が馬鹿だったわけです。
髪型の本を見ても、どこにもモヒカン・カットは載ってもいません・・・。
結局、言葉と仕草で「頭の天辺を残して、後は全部バリカンで超短くして欲しい」とのたまわると、叔母さんの顔は引きつっていました。
しかも「こないだ同じようなリクエストでロコの男の子の髪の毛切ったんだけど、一週間で戻ってきて、全部短く刈りなおしたのよ」などと躊躇させるようなことを言ってきます。
しかしそんな攻撃には負けていては、歌って踊れるお馬鹿なチャネラーなどやってはいられません。とにかくルーミー君の指示のもとに、バリバリと切ってもらいました。
仕上がりは予想通りに結構サマになっていたので、ルンルン気分で家に帰って、近くのジッピーズのミートソースを食べにお出かけしてみます。
いやぁ、すれ違う人の視線を引くったらありゃぁしない。
通り過ぎてゆく車の中の人からも、何ども視線を買ってしまいました。
そしてモヒカン頭でミートソースを食べて歩いて帰っていたら、久しぶりの自転車叔母さんに出くわしました。この自転車おばさんの話は次回のワイキキの裏セレブで・・・。
実は自転車おばさんの他にも、さらに奇抜な「自転車叔父さん」というのが徘徊しているのですが、話が長くなるので次回にします。
そんなジモピー的有名人のおばさんの後ろ姿を見ながらルーミー君と一緒に歩いていると、日本人の観光客らしきご夫妻が、通りの角でワイキキのマップを広げて困ったちゃん状態に陥っていたのを見つけました。
どうしたんですかぁ?どこに行きたいんですかぁ~?」と声をかけたら、旦那さんは顔を引きつらせて、「いっ・・いや、大丈夫です・・・」と些細な人助けの申し出を断ってきました。
カルチャー・ショックを目の当たりにしてしまった日本人観光客の不可解な行動その①・・・。
そのときに私は気がつきました・・・。
私はモヒカン頭だったのだと・・・。
要領の分からないハワイという、一応は危ないアメリカの、しかもワイキキではないジモピー・エリアで困ったちゃんしていたのですから、そんな場所でモヒカン頭の変な日本人に声をかけられては叔父さんも心が硬くなってしまうのは分かる気がしました・・・。
別に取って食うわけでもないし、真昼間に大通りで日本人の中年夫婦をたぶらかして路地に連れ込んでガブリと噛み付くわけでもないのですが、何せ人には思い込みっつ~ものがあるので、モヒカン頭が自動的に『この人悪い人』だと決め付けてしまったのかもしれません・・・。
人間の綾というのは遺憾せん、そんなものだと思って悟りを開いてしまう私・・・。
しかし叔母さんは安心した様子で、「すみませんねぇ、手前のアンティーク屋に行ったら閉まってたんで、他にないかと思って探してたんですけど」と気さくにお答えして来ました。
さすが日本の母です。心構えが違います。恐れに翻弄されずに平常心と優雅さを失わない方というのはスピリチュアルに美しいのです。
「それだったら、ここからワイキキに戻る途中に、ベリーズっつ~アンティーク屋があるから」とマップを広げて教えてあました。「道なりに戻って行ったら、道路の左側に、アロハシャツを並べたお店があるから直ぐに分かりますよぉ。入り口には首にレイをかけた大きなゴリラのぬいぐるみがあるから見逃さないでしょう」と言って、私は先ほどの自転車おばさんのように、ご夫婦の前から風と共に去りぬしてしました。
もしタラコ唇のピート・バーンズ様のように、ゴリラのぬいぐるみを着てサングラスをかけ、モヒカン頭でそこいらをテクテク歩いていたら、かなりウケルかもしれない・・・と密かに思ってしまいました。
勇気があったらいつか試してみたいと思います。しかしゴリラの縫いぐるみは何処で手に入るのでしょう・・・?
モヒカン頭でサングラスをかけて、ゴリラの縫いぐるみを着てチャネリングをする宇宙人系のチャネラー・・・。
これはかなり常軌を逸脱していると思われるでしょう・・・。
まぁ得てして普通の人が経験しない不思議なことを連発して体験していると、その内に麻痺してきて、日常生活の一部になってしまうので些細なことでは驚きもしなくなります。
単純に逸脱してしまっていると言えばそれまでなので、これは逸脱したまま放っておくしかないと個人的には思っています。
この種の俗に言う霊的な経験というものは、得てして規制したくても規制出来るものでもない種類のものなので、逸脱したままにしておくわけです。
しばらく逸脱して状態を続けていると、周囲はその内に逸脱ではなく普遍なものとして捉え始めるからです。ようは視覚的な慣れの問題です。
美輪明宏さんはケバケバのお化粧をして、豪華なジュエリーをピカピカさせ、しかもブロンドの巻き毛に真っ赤で大きなリボンをつけて「エースを狙え!」に出てくるお蝶婦人のような女装で自己表現を追及しています。
彼が観音様のようなものすごいオーラをスタジオ中に発散させて霊視をするのですから、似たもの同士ということで勘弁してもらうということにしています。
私の中に「チャネラーだから」ということで、スピリチュアルなイメージや格好、生活形態に固執するという観念は存在しません。
そういうものはTPOに合わせて使い分ければ良いだけの話なわけです。
道端で困ったチャンに道を教える攻撃は、ミッション・インポッしブルではありませんでしたが、とりあえずミッション2は完了したので、一休みしてからルーミー君と一緒にワイキキのホテルのジャグジーに観光客の振りして日光浴をしに行く計画でバスに乗ってモヒカン頭にサングラスをかけて出かけました。
もう少し日焼けしたらモヒカン頭もサマになるかもしれない・・・。 と思ったわけです。
困ったチャン夫妻と同じように、サンデッキの隣で日焼けしていた茶色にそめた派手なビキニを着ていた叔父さんは、ルーミー君から「どこで灰皿見つけたんですか?」というようなたわいもない質問にさえ答えることも出来ませんでした。
しかも日本語で聞いているのに・・・。
その日のルーミー君は髪の毛こそ少し茶色いけれども、モヒカン頭に比べれば、まぁまぁ普通の格好だったので、これもきっとルーミー君の横で、モヒカン頭にサングラスをかけ、さらにイケイケの真っ赤なスピードの水着で優雅に日光浴をしていた私のせいだったのかもしれません・・・。
カルチャー・ショックを目の当たりにしてしまった日本人観光客の不可解な行動その②・・・。
そんなこんなでモヒカンで始まって、ミッション・インポッしブルを二つもこなし、沢山歩いてワイキキから帰ったのでその日曜日はまぁまぁ充実していました。
ご褒美は今まで一度も入った事のない「KOTOBUKI」というスゴク目立たない場所にある和食屋で、バターフィシュとチキン豆腐というものを食べました。しかしこの和食屋さんはもうありません。
まぁまぁ美味しかったのでお勧めだったのですが、もう店終いしてしまったようです。ワイキキ周辺のお店は回転が速いですね。
時々は普通の自分からかけ離れた格好をして行動すると、周囲の人々の意外な反応に出会えるので楽しいです。
意識的に固定概念を崩してしまうのは人によっては心地よく感じない場合もあるかもしれませんが、自己表現のヴァリエーションが増えれば増えるほど、変化するというものが一時的なものであるという気づきに達して、そこから先は何故か普遍的なものに近くなってゆくんですね。
自分自身に変化することを許すという意味では、日ごろのパターンとは違うものに意識的に挑戦して、それに慣れるまで続けてみることはかなり有意義だと思います。
時々は自分を相手にして着せ替え人形を経験するのも自分を知る大きな手がかりになります。
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